ツーリングノイローゼ

ツーリングとは何か

「ツーリング」を辞書で引く

『〔各地を回って帰る意〕① 観光旅行。周遊旅行。
② 自動車・バイクなどで、遠出をすること。また、カヌーなどの舟にもいう。遠乗り。』

現在一般的にツーリングと言うとバイクや自転車で走るイメージがあるが、我々オールドスクールな奴らはクルマで走る事もツーリングと言っていた時代があった

クルマの移動云々はともかく、正直言うとバイクでツーリングとかよく分からないでいた

特に目的が無く走る事が全く理解できない

例えば『美味しいお店に食べに行きたい』は目的があるから分かるが、ただ走りたくて家を飛び出す意味がよく分からないでいた

確かにバイクを買ったばかりで乗りたい衝動で無意味に走る事はあるが、それを継続するとなるとなかなか理由としては難しい

ましてやバイクは乗る前の儀式が重要な乗り物である

先ずは駐輪場から出すために、何重にも張り巡らせたセキュリティー解除から始まるのだ

こんなものは悪い奴が居なければ一切必要無いのだが、昨今の状況を見てるとそうも言ってられない

二重三重のチェーンロック解除から始まり、赤外線探知機連動の撃退用レーザビーム、熱線銃、不審者探知爆破装置などを解除してからヘルメットを被り走り出すまでに日が暮れるレベルで億劫になる

特に不審者探知爆破装置などは5秒以内に解除出来なければ爆発して半径50キロを2千年の間、砂漠化させてしまう破壊力なので責任重大である

そこまでしてバイクに乗るには理由があるのだろうと考え、我々はアメリカへ飛んだ

そしてすぐに帰国

ってかパスポート持ってないから空港で追い返された

とにかくツーリングとは無縁だった私は何か目的が無いとバイクに乗らない事を感じている

こう書くとなんだかバイク乗りに冷たい感じもするが、目的は何でもいいと思ってる

目的地ではなくて目的があるなら乗る

例えば慣らし運転なんかは目的地を設定しないで走る事が多いかもしれないが、それは慣らしを目的としてるのでやる気が出てきて「納車後1日で慣らし終わらせました」なんて人が沢山居るわけだ

今の新車の慣らし期間は知らないが、1000キロだったとして、慣らし以外に目的が無かったらただの苦行である

目的は色々とある

絶品ランチを食べたい、素晴らしい景色を見たい、あの道を走りたい、友人と一緒に走りたい、カスタムしたバイクを見せびらかしたい、あの道はどこまで続いてるのか知りたい、第三京浜で300キロ出したい、峠でヒザ擦りたい、真夜中に直管で爆音を出しながら街の人に迷惑かけたい、会社へ行きたくない、今の生活を全てを捨ててこの街を出たい、でも家族も居るしやっぱり仕事に行くかな、などなど

全て目的が有ればツーリングなんだと若い頃には無かった感覚になった

こんな事を書いていたら急にバイクに乗りたくなった

行き先は決めてない

目的はバイクに乗りたい

以上